『とある桐生の放送室』パーソナリティ岡﨑美帆さん、上野真琴さんにインタビューしました
『とある桐生の放送室』とは?
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響で、以前のように自由に大学に行くことができなかった2020年。『とある桐生の放送室』とは、そんな状況の中で放送された、理工学部に入学したばかりの新1年生、進級したばかりで桐生キャンパスのことを知らない新2年生向けの情報発信を目的とした、学生主体の群大情報発信系ラジオである。(愛称『とあ桐(とあきり)』。)
学生広報大使でもあり、GFL※でもある岡﨑美帆さん(理工学部総合理工学科4年)と上野真琴さん(理工学部化学・生物化学科3年)の2人が有志でパーソナリティを務めた。
※GFL(Grobal Frontier Leader)とは:グローバル人材育成の一環として設置されたプログラム。幅広い教養・外国語コミュニケーション能力の修得を中心とした教育を実施している。
岡﨑 美帆さん
プロフィール
理工学部総合理工学科4年生。学生広報大使、GFLの一員。サークルは合気道部に所属。趣味はドライブで、気晴らしに運転して最長7時間運転したこともある。群馬大学の大学院に進学予定。
上野 真琴さん
プロフィール
理工学部化学・生物化学科3年。学生広報大使、GFLの一員。サークルは合気道部に所属。GFLとして早期研究室配属、早期卒業により来年度から群馬大学の大学院に進学予定。多趣味で私生活ではアニメを見ることに時間を割いている。
『とあ桐』結成秘話
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聞
- 『とあ桐』を始めた経緯を教えてください。
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上野
- 5月の初めに「新入生サポーター」という、Zoomを使った新入生向けのオンラインサポート活動に参加していたのですが、多くの新入生が参加してくれたのにも関わらず、質問はあまり来ませんでした。そのため、「何を質問したらいいのかわからないけど一応聴いておこう」と思っている新入生が多いのかもしれないと思いました。また、「これは上級生が一方的に情報発信しているだけだ」ということに気づき、「それならばいっそラジオ形式にしたらいいのでは?」と思いつきました。そこからすぐに岡﨑さんに「新入生に向けたラジオをやりませんか?」とLINEを入れたところから『とあ桐』が始まりました。
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岡﨑
- 真琴ちゃんから連絡を受けて、「めっちゃいいな」と思いましたね。コロナウイルス感染拡大の影響でキャンパスに原則立ち入り禁止になり、今までやっていた広報大使や部活などの課外活動ができなくなってしまい、今のうちに何かやりたいという考えを持っていたので。すぐに「それいいね」と返事をしました。その後、真琴ちゃんとLINEで話す度に「ラジオのことなんだけど…」とラジオの話題が出て、そのままやることが決まりました。こういう思いつきみたいな話は、時の経過と共にうやむやになることが多いと思うのですが、『とあ桐』の案はそうはならずに、実施できましたね。
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上野
- 当初は6月から大学に登校できるかもしれないという話もあったので、余計に「やるなら今(5月)しかない」「5月中に1回はやりたい」と思い、すぐに準備に取り掛かかりました。そして初回の放送(第1回(2020年5月29日放送))、(第10回(2020年7月31日放送))をした形になりました。
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岡﨑
- 懐かしいな〜。
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上野
- 懐かしいですね。結局6月になっても学校が始まらず、前期の講義が全てオンラインになったので「これは、前期中も放送できるのでは?」という話になりました。
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岡﨑
- 結局7月末のテスト週間に入る前まで放送しましたね(第10回(2020年7月31日放送回)までのこと)。7月からは研究室に行けるようになりましたが※、かなり忙しくなりましたね。私は大学院の先取りの講義があったし、真琴ちゃんは3年生の講義があったので、お互い研究と講義、課題、そして『とあ桐』の準備に追われていました。
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上野
- 忙しかったですね。正直、やばかったです。
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岡﨑
- 真琴ちゃんはテストもあったしね。第10回と区切りもよかったので、前期の終わりで『とあ桐』の定期放送はやめました。
※二人の研究室所属について:岡﨑さんは4年生のため研究室での研究がメインの生活。上野さんはGFLの早期研究室配属により3年生だが既に研究室で研究を行っていた。
『とあ桐』の名前の由来
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聞
- 『とある桐生の放送室』という名前の由来は何ですか?
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上野
- それは名付け親の岡﨑さんからお願いします。何かアニメっぽい名前が良い、みたいな話でしたっけ?
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岡崎
- そうそう。タイトルをつける時に、どんな名前がいいか考えたのですが、聞き覚えのあるフレーズが良くて。(上野さんの方を向いて) いくつか名前の案をLINEしたよね?
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上野
- してましたね。(LINEの履歴を遡りながら)「この名前はどうかな?」みたいなことをずっと話していました。
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岡崎
- なかなかしっくりくる名前が思いつかなかったから、本当にずっと決まらなかったね。(2人ともLINEの履歴を遡る)
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上野
- あ、ありました。「放送室」ってワードが入っている案や、「群大生が話すだけのラジオ」という名前の候補が出ていましたね。
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岡崎
- あ〜、あったね。途中で「放送室」っていうワードが入っている名前がいいなと思った。
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上野
- 「略して“群ラジ”でもいいね」という会話も残っています。でもそれに対して岡﨑さんは「どこかに怒られそう」と(笑)
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岡崎
- 最初は「○○ラジオ」いう名前が候補に挙がっていたのだけど。
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上野
- (放送時間帯の)夜の、とつけると危ない感じがするから。
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岡崎
- そうそう(笑)。ラジオをしているのが伝わる言葉で、「夜」や「群大」という言葉が入っていなくて、どこかで聞いたような印象に残りやすい名前を探したところ、最後に「放送室」っていうワードがつくものがいいね、となりました。
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上野
- その前に「桐生のとある放送室」という候補もあったんですよね。
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岡崎
- そこから「とある魔術の禁書目録」というアニメの名前を思い出し、「その響きであれば、どこかで聞いたことあるような印象を与えることができるのでは?」となり、「とある桐生の」という名前をつけました。それとは別に『とあ桐』という愛称は早い段階で候補に挙がっていましたね。呼びやすい名前がいいだろうという考えから『とある桐生の放送室』、略して『とあ桐』ということになりました。
今後の『とあ桐』について
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聞
- 7月末の第10回で『とあ桐』の定期放送は終了したということですが、7月末以降も数回に渡って不定期放送をしていましたよね。今後の形としてはどのようになるのでしょうか?
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岡崎
- 不定期放送は夏の特別回として、8月に1回、9月に2回の合計3回、そして10月に1回行いましたね。10月に放送した第13回をもって、正式に『とあ桐』を終わりにしました。
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聞
- 今後再開することは無いのでしょうか?
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岡崎
- 今のところ未定なんですよね。
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上野
- 2人とも卒論で忙しいから・・・。
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岡崎
- そう。卒論が(笑)。卒論が終わってからか、新入生が入るタイミングでまたやりたいなとは思います。
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上野
- 前は『とあ桐』のための時間を取ることができたので、資料作成などの凝ったことができたのですが、今はそれができないのでやめています。復活するときは、裏方をやりたい人を仲間に入れて放送するのもありですね。2人だと気心が知れている上に、少人数だからスピード感があったのは良かったんですけどね。
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岡崎
- 確かに。2人だけでやっていたから大変でしたね。『とあ桐』活動中から、「誰か裏方を入れるか」といった話や、「ゲストを呼びたいよね」という話はしていたのですが、結局ゲストとして呼べたのは特別回の最初と最後の2回だけだったので、まだまだやりたいことは溜まっています。でも現状だと自分たちの理想を超えないと思うので、一度やめて来年パワーアップしようと思います。
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上野
- 春にまた時間に余裕が取れたらって感じですね。
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岡崎
- 「きっと(今年の放送を聞いていた)皆さんは学校には慣れたでしょう」と言って、復活したいですね(笑)
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聞
- またお二人の放送を聴けるのを楽しみにしていますね。
『とあ桐』をやって得られたこと
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聞
- 全16回に渡る『とあ桐』の放送の中で、特にリスナーからの反響が大きかった回や記憶に残った回、大変だった回はありますか? 印象に残ったことを教えてください。
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岡崎
- どの回だったか忘れたのですが、30人視聴してくれた回があったんです。凄い嬉しかったです。
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上野
- その回は(Zoomの)チャットにコメントを寄せてくれたリスナーがいたのも嬉しかったですね。あと一番うれしかったのは、HPのお便りフォームに感想などを書いてくれる人がいたことですね。
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岡崎
- 「いつも聴いてます」みたいな感想、嬉しかったよね。手ごたえを感じました。
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上野
- 個人的に印象に残っているのは七夕企画の時ですかね。七夕企画では、リスナーから願いごとを募集して、その願い事を短冊に書いた動画を作ったのですが、「大学に早くいきたい」という内容の願い事があって、胸が締め付けられる思いがしましたね。
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岡崎
- あとは、Zoomで配信をしていたので、リスナーの数を見ることができたのですが、後期に入ってテスト2、3週間前からだんだんリスナーが減っていたのが難しいと思いましたね。ちょうどその頃からバックナンバーをHPに載せはじめたので、リスナーに「別に今すぐに聴かなくてもいいか」と思われているのではないかと考えてしまいました。
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上野
- リスナーが減った時の巻き返し方はわからなかったですね。運営の難しさを痛感しました。
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岡崎
- 同時に宣伝の難しさも知りましたね。
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上野
- デバイスとZoomとの相性にも悩みましたね。YouTubeの方がよかったのかもしれないと思いましたし、Zoomでどのようにリスナーを増やせるかについて考えました。とはいえ、むやみやたらにZoomのURLをTwitterに流して、荒らしのような人が入ってこられても困りますし・・・。
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岡崎
- そうそう。私たちがただ話しているのを垂れ流しにするのも気が引けました。個人の意見を中心としたラジオなので、大学に変な影響が出ないように気を付けましたね。私も真琴ちゃんも保守派なので、変なことに巻き込まれないように、ということを第一に考えて動いていた気がします。
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上野
- そうですね。だからあまり過激なこと・・・例えば「こういうことをやれば楽だよ」のような裏道的な話は、リスナーから質問が届いても答えないようにしていました。
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岡崎
- 上手い返し方に悩んだね。
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上野
- だからこそ、本当の意味でリスナーに寄り添えた放送だったかどうかについては自信がありません。SNSでつながって、DM等でやり取りをしていた方が距離が近かった気がします。
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岡崎
- SNSでも、自分の名前がばっちり出て、個人がわかるアカウントで連絡くれる人は少なかったです。『とあ桐』の活動前から個人のTwitterアカウントで質問箱を用意して、新入生向けに情報発信もしていましたし、『とあ桐』の放送を始めた後は、『とあ桐』名義のTwitterアカウントでも宣伝をしたりしていたのですが、投票型のツイートには反応があっても、それ以外のツイートにはあまり反応がなかったので。こちらからDMを送ってみたりもしましたが、やはり新入生の近くに寄り添うのは難しかったです。
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聞
- 個人的には、ツイキャスやYouTubeの方が、聴く人の匿名性が上がるので、『とあ桐』でZoomを用いたのは意外でした。
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岡崎
- そうですね。最初そのような配信方法も考えたのですが、Zoomであれば講義でも使われているツールのため、自分たちもリスナーも慣れている上に群大生のみに限定公開することもできると思い、Zoomを利用しました。ラジオではあるものの、顔が見えるし、共有できるのもよかったです。
2人から見た群馬大学について
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聞
- お二人とも群馬大学の大学院に進学されるとのことですが、お二人が思う群馬大学のいいところ、改善してほしいところはどこですか?
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上野
- 良いところは、意外と周りの先生や、事務の方など大人の人に熱い人が多いところですかね。入学後に手厚いサポートを受けたことで、やる気があれば、やりたいことがやれる環境にいることに気付きました。自主的にやりたいことがある人にとっては、群馬大学は後から伸ばしてくれる素敵な環境だと思います。群大生の中にも熱い人がいますしね。
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岡崎
- 確かにサポートが手厚いですね。気にかけてくれる大人がいる環境だと思います。事務の方も優しい人が多く、課外活動をする中でとても優しくしてくれました。改善してほしいところ……。強いて言うなら、交通アクセスがあまり良くないことですかね。あとはキャンパス間の連携も薄い気がします。内輪同士は連携が取れているのに、キャンパスが変わるとその連携が薄くなる印象があります。あとは、自分から動かないと、周りの手厚いサポートに気付きにくい環境ではあるかもしれません。
リスナーの皆さんへ
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聞
- 最後に『とあ桐』のリスナーさんへメッセージをお願いします。
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岡崎
- まずは何よりもリスナーさんや、お便りをくれた方に感謝です。そんな皆さんのお陰で続けてこられました。ありがたいです。
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上野
- Zoomに寄せられたコメントが優しくて嬉しかったです。本当にありがとうございました。あとは、こんな時代だけど悔いなく過ごしてほしいです。自分でもできているかは分かりませんが、「できなかった」と言うのは簡単だけど、「逆に今だから」をやるべきだと思います。
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岡崎
- 新入生に注意するならば、SNSの使い方に気を付けてほしいなと思います。SNSは上手く使えば情報発信ツールになりますが、授業や課題の内容をツイートして、誰かに見られている感覚が無い人を見かけました。自分が気を付けている分、授業中にツイートしている人を見るとひやひやします。
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上野
- 群大の先生の中にも在学生のSNSを見ている人はいますもんね。オンライン中心になった今だからこそ、もっと気を付けるべきですね。
このコーナーの取材を
担当した学生広報大使
撮影担当桐生写真部
理工学部 電子情報理工学科
大澤 郁弥